第五回JCVA学術集会

会長挨拶

信州大学学術研究院医学系 教授
第5回JCVA年次学術集会 会長
沢村達也

第5回JCVA年次学術集会開催にあたって

新型コロナウイルス感染症の行方がまだまだ見えない中ではありますが、この度、2020年6月20日(土)~21日(日)の2日間、ホテルブエナビスタ(長野県松本市)におきまして、日本心血管協会(Japan Cardiovascular Association, JCVA)第5回学術集会を開催させていただくこととなりました。

ピーター・ドラッカーは、「イノベーションが加速するのは危機が訪れたときだけである」と述べていますが、今まさに新型コロナウイルス感染症蔓延の危機により、働き方の変革が余儀なくされ、多くの価値観が問い直されています。一方で、学術や医療に対する社会の要請はかってないほど高まっています。このような中、本学術集会では当初の予定外の試みとして、オンラインでの講演、視聴、ディスカッションを中心とした形態での開催とさせていただきました。ぜひ多くの皆様に、ご参加いただき、真に価値あるものをこの集会の中からすくい上げ、明日の医療へとつなげていただけていただけましたら幸いです。

本会の母体となる、国際心血管薬物療法学会(International Society of Cardiovascular Pharmacotherapy, ISCP)は、1989年に京都でCardiovascular Pharmacotherapy International Symposium (CPIS)が開催されたのを機に、国際学会として発足しました。2012年より各国の支部会による活動がスタートし、日本においては、NPO法人国際心血管薬物療法学会日本部会(J-ISCP)が立ち上がりました。J-ISCPは、2018年、ISCP本会を国立病院機構 京都医療センターの長谷川浩二先生会長で行うなど順調な発展をとげ、2019年より、認定NPO法人日本心血管協会(Japan Cardiovascular Assoshiation, JCVA)と名称を新たにし、国際的貢献と共に国内各地で市民公開講座を開催するなど、精力的に全世界レベルでの心臓血管病予防の啓発活動に取り組んでおります。

これまで、京都医療センターの長谷川浩二先生(第1回)、徳島大学の佐田政隆先生(第2回)、東京医科歯科大学の吉田雅幸先生(第3回)、東邦大学の池田隆徳先生(第4回)が第一線の研究者を集め大変有意義な学術集会を開催されてきたのを受け、本学術集会においても、心血管薬物療法による心血管病の予防・治療法の発展およびその普及につながる、Up-to-dateなセッションを計画しております。

本学術集会のテーマは「基礎から臨床まで」として、臨床応用が見える以前の端緒となる基盤的研究から、第一線の臨床研究までをカバーすることにより、将来のdisruptive technology開発につながる場が提供できればと考えています。また特別講演では、東京大学名誉教授、信州大学特別特任教授の藤田敏郎先生に「食塩と高血圧」について、北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター統括の喜田 宏 特別招聘教授に新型コロナウイルス感染症と関連してお話しいただけることになりました。

まだまだ落ち着かない世情の中ではございますが、本学術集会が活発な御議論と思索を深めていただきます一助となりましたら幸いです。末筆ながら、皆様のご健康を心からお祈り申し上げます。